2008年05月12日

行政事件訴訟法 取消訴訟 その2

行政法紹介の24回目、今日は、行政事件訴訟法取消訴訟の2回目です。本

3.処分の取消しの訴えと審査請求との関係
 行政処分がなされた場合、これを不服とする者は、審査請求ができる場合でも、直ちに取消訴訟が提起できる(自由選択主義)。ただし、法律に審査請求をした後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがあるときには、この限りではない(審査請求前置主義)。

 なお、前記のただし書きの理由があっても、
 @審査請求があった日から3ヶ月を経過しても裁決が無いとき
 A処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき
 Bその他裁決を経ないことに付き正当な理由がある
場合には、裁決を経なくても取消訴訟を提起することができる。

4.教示制度
 平成16年の法改正で、行政事件訴訟法の取消訴訟について教示制度が創設された。
 行政庁は、取消訴訟が提起できる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次の事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合や、処分の相手方以外の第三者にはこの限りではない。

 @当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者
 A当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間
 B審査請求前置主義の定めがある場合にはその旨
 C裁決主義の定めがある場合にはその旨

 教示しなかった場合の救済規定は無い。


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2008年05月06日

行政事件訴訟法 取消訴訟 その1

行政法紹介の23回目、今日は、行政事件訴訟法取消訴訟です。本

1.取消訴訟の意味
@処分の取消しの訴え
 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為から、裁決・決定を除いたものの取消しを求める訴訟
 (例)営業停止処分の取消しを求める

A裁決の取消しの訴え
 審査請求、異議申立て、その他の不服申立てに対する行政庁の裁決・決定その他の行為の取消しを求める訴訟
 
 @、Aをあわせて取消訴訟といい、行政行為の取消しを求める訴訟が中心となる。

2.二つの取消の訴えの関係
 営業停止処分を受けたとき、いきなり処分の取消しの訴えを起こさないで、まず審査請求をしたところ、棄却裁決を受けた。この者が、原処分(営業停止処分)の違法を理由に、さらに訴訟を起こす場合、原処分を争えばいいか、棄却裁決を争えばいいか?
   

原処分を訴訟の対象とすべしとする考え方 :原処分主義
棄却裁決を訴訟の対象とすべしとする考え方:裁決主義
   

行政事件訴訟法では、原処分主義を採用。ただし、法令により原処分の違法についても、裁決があった場合には、「裁決の取消しの訴え」で争うこととする裁決主義を取っている場合がある。
 (例)電波法96条の2


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2008年04月25日

行政事件訴訟法の総則

行政法紹介の22回目、今日は、行政事件訴訟法総則です。本

1.行政事件訴訟とは

・国民が行政権の行使によって違法に権利利益が侵害されたと考える場合に、裁判所に訴えて、その救済を求める訴訟手続のこと。
・行政事件訴訟の一般法として行政事件訴訟法がある。昭和37年に制定され、平成16年に大幅な改正が行われた。
・民事事件訴訟を扱う民事訴訟法とは区別しているが、行政事件訴訟法の7条に「この法律に定めが無い事項については民事訴訟の例による」とされているように、自己完結的な法律ではなく、口頭弁論や証拠などの手続については、民事訴訟法にしたがっている。

2.行政事件訴訟の類型

・行政事件訴訟法に規定する行政事件訴訟とは、抗告訴訟当事者訴訟民衆訴訟機関訴訟をいう。

・抗告訴訟はさらに、次の6つに分けられる。
 @処分の取消しの訴え
 A裁決の取消しの訴え
 B無効等確認の訴え
 C不作為の違法確認の訴え
 D義務付けの訴え
 E差止めの訴え

・上記の@、Aを総称して「取消訴訟」呼び、抗告訴訟の中心をなす。


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2008年02月02日

行政不服審査法 裁決と決定

行政法紹介の21回目、今日は、行政不服審査法裁決と決定です。本

1.裁決と決定の種類
@審査請求に対する裁決及び異議申立てに対する決定は、書面で行い、かつ理由を付さねばならない。
A種類は次の3種類がある。
却下:請求の要件を満たしていない不適法な場合。
棄却:請求理由が無いとして原処分を正当・適法なものとして維持する。
認容:請求内容に理由があるとされる場合。但し、不服申し立て人に不利益な処分又は事実行為を変更できない。

2.認容裁決の種類
@取消裁決:事案に応じて処分の「一部又は全部を取消す」
A宣言裁決:事案に応じて事実行為の「一部又は全部の撤廃(又は変更)」を命じ、宣言する。
B変更裁決:事案に応じて処分を変更し、又は処分庁に対して処分を変更すべきことを命ずる。この場合は、不服申立人に不利益になるような変更は許されない。
C事情裁決:処分が違法又は不当であっても、取消しや撤廃が公の利益に著しい障害を生じる場合に、処分が違法又は不当であることを宣言しつつ、審査請求を棄却する裁決。形式的には棄却裁決だが実質的には認容裁決であると言える。

3.裁決・決定の効力
@いずれも行政行為としての公定力不可争力不可変更力を生じる。
A認容裁決は「関係行政庁」に対する拘束力(処分のやり直し、公示、通知などをしなければならない。)を有する。


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2008年01月21日

行政不服審査法 執行停止

 行政法紹介の20回目、今日は、行政不服審査法執行停止です。本

 行政不服審査法は、不服申立ての濫用による行政の停滞を避け、行政の円滑な運営のため、不服申立ては「処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」と規定している。これを執行不停止の原則という。

 しかし、不服申立人の権利救済を図るため、執行不停止の原則にも例外があ利、以下の場合には執行が停止される。
@処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立て又は職権により執行を停止できる。
A処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより執行を停止できる。

 行政庁は執行の停止の申立があったときは速やかに執行停止をするかどうか決定しなければならない。その場合、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる「重大な損害」を避けるため緊急の必要があると認めるときは、執行を停止しなければならない。

 ※「重大な損害」という用件は、従来「回復困難な損害」とされていたが、平成16年の行政事件訴訟法の改正に合せて、要件が緩和された。

 ただし、次のいずれかに該当するときは、執行停止できない。
@公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがあるとき
A処分の執行又は手続の続行ができなくなる恐れがあるとき
B本案について理由が無いと見えるとき


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2008年01月14日

行政不服審査法 教示

行政法紹介の19回目、今日は、行政不服審査法教示です。本

1.教示とは
 処分庁が処分を行う場合に、不服申し立てという制度があり、いつまでにどこの行政庁にどんな手続ができるかを処分の相手に知らせる制度のこと。

2.教示をする場合
@行政庁が不服申立てをすることができる処分をする場合 (57条1項)
A行政庁に利害関係人から教示の請求がある場合(57条2項)

3.教示の内容
・2の@の場合…不服申立てをできる旨、不服申立てをすべき行政庁とできる期間
・2のAの場合…不服申立てができる処分かどうか、不服申立てをすべき行政庁とできる期間

4.教示の方法
・2の@の場合…書面でしなければならない(57条1項)
・2のAの場合…口頭でも書面でもいいが、書面による教示を求められた場合には、書面で教示しなければならない。(57条3項)

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2007年12月04日

行政不服審査法 不服申立ての手続−2

 行政法紹介の18回目、今日は、行政不服審査法の不服申立ての手続の処分についての審査請求の手続です。本

1.手続の流れ
(1)審理の方式
 @特色
  ・書面審理主義(⇔口頭審理主義)
  ・職権主義(⇔当事者主義)
 A当事者主義的要素の導入
 ・審査請求人または参加人の申立てがあると審査庁は口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
 ・審査請求人または参加人は、証拠書類または証拠物を提出することができる。

(2)審査請求の手続の流れ
 審査請求書の提出(審査請求人)
  
 審査請求書をチェックし、補正が可能な場合、相当な期間を定め補正を命ずる(審査庁)
  
 審査請求書の副本を処分庁に送付、処分庁へ弁明書の提出要求(審査庁)
  
 弁明書の提出(可能な場合 処分庁)
  
 弁明書の副本を審査請求人に送付
  
 反論書の提出(可能な場合 審査請求人)
  
 裁決または審査請求の取下げ
  
 裁決が出た場合、裁決書の謄本を処分庁と審査請求人に送付


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2007年12月01日

行政不服審査法の不服申立ての手続

行政法紹介の17回目、今日は、行政不服審査法の不服申立ての手続です。本

1.不服申立て人の資格
@不服申立てをすることができる者について行政不服審査法では、「行政庁の処分に不服がある者」または「不作為に係る処分その他の行為を申請した者」と規定している。
A自然人、法人に限らず、法人でない社団・財団も代表者または管理人の定めがあればその名で不服申し立てができる。
B多人数で共同して不服申立てをしようとするときは、3人を超えない総代を互選して、審理手続の円滑化を図ることができる。
C不服申立ては代理人によってすることができる。代理人は当該不服申し立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取れ下げは、不服申し立て人の特別の委任が必要となる。また、代理人の数の制限はない。

2.不服申立ての方式
 不服申立ては、他の法律または条例に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出して行う。
 提出する書面(不服申立書)は、審査請求の場合には審査庁(正本1通)と処分庁(副本1通)の計2通を提出しなければならないが、異議申立ての場合は処分庁への1通だけでよい。
 オンラインによる電子申請の場合は、正副2通が提出されたものとみなされる。

3.審理の方式
 書面(またはオンライン)に基づいて審理が進められる「書面審理主義」を採っている。

4.不服申立てができる期間
@郵便で不服申立書を提出する場合は、発信主義がとられる。つまり、郵送に要した日数は算入しない。

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2007年11月10日

行政不服審査法総則−2

行政法紹介の16回目、今日は、行政不服審査法総則のつづきです。本

2.行政不服申立ての種類
 種類として、審査請求異議申立ておよび再審査請求3つがあります。

(1)審査請求

@審査請求は、処分又は不作為をした行政庁(処分庁という。不作為の場合には不作為庁という。)以外の行政庁に対して行うものです。
A行政不服審査法は審査請求を原則とし、異議申立てを例外としています。
B処分についての審査請求ができる場合は以下の通りです。
a)処分庁に上級行政庁がある場合(いくつもある場合は直近上級行政庁)。
b)上級行政庁が無い場合でも、法律や条例で審査請求ができるという定めがある場合。

(2)異議申立て

@処分庁または不作為庁に対して行うものです。
A処分についての異議申立てができる場合は以下の通りです。続きを読む
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2007年11月07日

行政不服審査法総則

行政法紹介の15回目、今日は、行政不服審査法総則です。本

1.行政不服審査制度とは
・行政庁の違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に対する不服行政機関に対して申し立てる手続(制度)のことです。一般法として行政不服審査法が存在します。

行政不服審査法は従来の訴願法(明治23年)に代わるもので、訴願法が特に列記した処分についてだけ不服申立てを認めていた(列記主義)を改め、原則としてすべての処分または不作為について不服申立てを認めるという一般概括主義という考え方を採っています。

・行政事件訴訟制度よりは簡略化された制度です。

違法な処分法律問題)だけでなく不当な処分裁量問題)も対象となります。さらに裁量権のゆ越や濫用がなかったとしても裁量権行使の是非を巡って争うことができます。

目的
@簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図る。
A行政の適正な運営を確保する。

対象となる行為
@行政行為
A事実行為のうち公権力の行使に当たるもので、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの
B不作為…行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいいます。

※Aの例として、出入国管理および難民認定法39条による外国人の送致前の収容や、食品衛生法17条による食品等の収去があります。exclamation×2


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2007年10月30日

不利益処分

 行政法紹介の14回目、今日は、行政手続法不利益処分です。本

1.不利益処分の意味
 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいいます。

2.不利益処分の手続
@処分基準の設定
A意見陳述のための手続(聴聞と弁明の機会の付与)

 最終的に不利益処分を行う前に、処分基準を設定し、不利益処分を使用とする場合に意見陳述のための手続きを経なければなりません。

(1)処分基準の設定(12条 努力規定)
 処分基準とは、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについて判断するために必要とされる基準をいい、行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません。

(2)意見陳述のための手続(13条 義務規定)
 行政庁は、不利益処分をする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続をとらなければならない。 次の@〜Cに該当するときは正式手続として聴聞(@〜Bは法定聴聞、Cは任意聴聞)を、それ以外は略式手続としての弁明の機会の付与を行います。
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2007年10月07日

申請に対する処分

 行政法紹介の13回目、今日は、行政手続法申請に対する処分です。本

 行政手続法は、処分全般の手続について規定していません。「申請に対する処分」と「不利益処分」についてのみ規定しています。

1.申請に対する処分意味
 申請に対する処分とは、行政庁が申請に対して、許認可または補正、拒否をすることです。

2.申請に対する処分手続
@審査基準設定公表
A申請者による申請
B審査
C処分(許認可または補正拒否)

 行政手続法は、基準の設定・公表、標準処理期間の設定などについて、「処分」の性質に応じて義務規定努力規定とを分けています。

(1)審査基準(5条 義務規定
 審査基準とは、許認可するかどうかの基準です(2条8号のロ)。行政庁は、審査基準をできるがけ具体的に定めなければなりません。そして、行政上特別の支障があるときを除き、公にしなければなりません。

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2007年10月01日

行政手続法総則

 行政法紹介の12回目、今日は、行政手続法総則です。本

1.行政手続法の目的(1条1項)
 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

2.規定対象としている行政手続(1条2項)
処分
行政指導
届出
命令等
※他に法律に特別の定めがない場合における事項に限られており、行政計画手続、行政契約手続などは規定対象とされてませんが、平成16年の改正により、行政立法手続を行う際の意見公募手続等が追加されました。

3.定義(2条)
用語の意義をいくつかあげます。
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2007年09月17日

行政罰

 行政法の紹介11回目、今日は、行政上の義務の実効性を確保するための手法の一つで行政上の制裁である「行政罰」です。

 行政罰は、行政上の過去の義務違反に対する制裁で行政刑罰行政上の秩序罰に分けられます。

1.行政刑罰
・刑法に定めがある刑罰を科します。刑罰は重い順に懲役禁錮罰金拘留科料となります。これらの付加刑として没収があります。
・手続は原則として刑事訴訟法による訴訟手続がとられますが、簡易手続が定められることもあります。例えば、交通事件即決裁判手続道路交通法に規定する交通反則金制度などです。

2.行政上の秩序罰
・届出や登録をしないなど、社会的法益を侵害するほどではなく、行政上の秩序に障害が出る程度のものに科します。行政処罰であり、刑法に刑名のない過料を科します。
 ※「過料」は刑法に規定している「科料」と同じ呼び方ですが、意味 がまったく違うので注意が必要です。
・国の場合には非訟事件手続法の基づき地方裁判所で科せられ、地方の場合には、地方自治法に基づきそのが科します。

 行政刑罰行政上の秩序罰は同じ行政罰ですが、その目的、要件、実現の手段を異にしているので、併科することができるとするのが判例です。



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2007年09月10日

即時強制

 行政法の紹介10回目、今日は、行政上の義務の実効性を確保するための手法の一つ、「即時強制」です。

 即時強制とは、義務の履行を強制するのではなく、目前急迫の障害を除く必要上、義務を命ずる暇がない場合に、直接に人の身体または財産に実力を加え、行政上必要な状態を実現することです。

 即時強制は、行政上の必要から直接に実力を加える権力的行為なので、必ず法律上の根拠が必要となります。

 例として
@消防法に基づく消火のために他人所有の土地を使用したり、延焼の危険のある近隣の家屋を破壊してそれ以上の延焼を防止する行為
A国税犯則取締法による財産差押え等のための家・事業所への立入り
 @、Aは財産に対する即時強制
B警察官職務執行法に基づく警察官の武器の使用
C車両が通行する公道上に寝ころんだまま熟睡している泥酔者の安全を確保するため、警察官がその者を警察署に運び保護する行為
 B、Cは身体に対する即時強制

 権力的事実行為ということで、行政上の強制執行の中の直接強制類似性がありますが、直接強制が義務の不履行を前提としているのに対し、即時強制義務の不履行前提としていない点で異なります。

 即時強制に対する救済措置としては、行政事件訴訟法に規定する差止めの訴え国家賠償法に基づく国家賠償請求が可能です。



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2007年09月04日

行政上の強制執行−代執行

 夏休みが終わって今日から専門学校の授業が始まりました。
 行政法の紹介9回目、今日は、行政上の義務の実効性を確保するための手法の一つ、「行政上の強制執行」です。

 行政行為には自力執行力があるため、行政機関は法令上や行政行為により課された義務を国民が履行しない場合には、裁判所に訴えることなく、行政機関義務の強制をすることができます。これを「行政上の強制執行」といいます。

 行政上の強制執行は、代執行執行罰直接強制強制徴収の4つに分けられます。今日は、時々その適法性が話題となる代執行について述べます。

 代執行とは、「行政機関が、行政的な義務を果たさない人たちの代わりにその行為を行い、要した費用を義務者に負担させる制度」です。
 つまり、行政機関による撤去命令などに応じない人たちに代わって、それらのものを行政機関が強制的に撤去する、などの措置がそれにあたるわけで、公園にテントを張って住んでいるホームレスの人たちの撤去がひとつの例です。

 もちろん、代執行は義務者の人権を侵害する行為なので法的根拠が必要で、一般法として「行政代執行法」が存在します。ただし、代執行について規定している法律は行政代執行法だけでなく、個別の法律として、都市計画法建築基準法などが存在します。耐震強度偽装マンションの住民に出された使用禁止命令も、建築基準法に従った命令であり、従わない場合は代執行の対象となるわけです。

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2007年07月07日

行政上の義務の実効性の確保

 行政法の紹介8回目です。今日は、「行政上の義務の実効性の確保」です。

 行政行為には、自力執行力があるため、行政機関には、法令上または行政行為により課された義務を国民が履行しない場合に、その実効性を確保するために、次のような手法がある。

<実効性確保の手法>
1.行政強制
1−1.行政上の強制執行
1−1−1.代執行
1−1−2.執行罰(間接強制)
1−1−3.直接強制
1−1−4.強制徴収
1−2.即時強制

2.行政上の制裁
2−1.行政罰
2−1−1.行政刑罰
2−1−1.行政上の秩序罰
2−2.その他の制裁措置
2−2−1.許認可の取消し
2−2−2.経済的負担
2−2−3.違反事実の公表
2−2−4.給付の拒否

 この行政上の義務の実効性の確保については、過去の行政書士試験での出題が多く、特に行政上の強制執行について繰り返し出題されている。

 受験生の皆さん、上記の手法のそれぞれの意味と違いをよく理解してください。



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2007年07月02日

行政指導

 行政法の紹介7回目です。今日は、「行政指導」です。
 行政指導は、原則として法律にその根拠を置かない国民に対するお願いや助言を指し、法的な効果を伴わないので、行政行為ではない。しかし、法の不備を補い、当事者の納得を得ながら、行政の需要の変動に柔軟に対応できるというメリットを有しているため、わが国のあらゆる行政分野において用いられている。

 行政指導は、行政手続法において法律上の明確な定義がされている。以下、その概要を示す。

1.行政指導一般原則
@行政指導を行う場合には、その任務や所掌事務の範囲を逸脱してはならない。
A行政指導の内容は相手方の任意の協力によってのみ実現される。
B行政指導に相手方が従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

2.申請に関連する行政指導
 その申請を取り下げたり、申請内容を変更するような行政指導をする場合には、その相手方がその行政指導に従う意志がない旨を表明したにもかかわらず、その行政指導を継続したりして申請者の権利を妨げてはならない。

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2007年06月25日

行政行為の附款

 行政法の紹介6回目です。今日は、「行政行為の附款」です。

 行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、特別な義務を課すために、主たる意思表示に付加される従たる意思表示をいいます。

 附款は、法律行為的行政行為にのみ付すことができ、準法律行為的行政行為(確認、公証、通知、受理)には、付すことはできません。

 ここでいう行政行為の附款は、行政庁の意思表示であり、最初から法律で行政行為に附款を付すことになっているもの(法定附款)は除かれます。

 自動車免許を例に取ると、「平成24年の誕生日まで有効」との条件を付することはすでに法律で定められているので、法定附款にあたり、「運転の条件」として記載されている「眼鏡等」の表示がここでいう附款になります。

 行政行為の附款は、5種類に区別されています。

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2007年06月18日

行政行為の取消しと撤回

 行政法の紹介5回目です。今日は、「行政行為の取消しと撤回」です。

 違法または不当な行政行為は、私人から争訟により取消しが主張されることにより取り消される場合があります。また。行政行為を行った後に、当該行政行為の違法性・不当性が分かり、行政機関が職権でその行為を取り消すこともあります。

 これに対し、行政行為をしたときには瑕疵がなく有効な行為であったですが、その後の諸事情の変化を理由として、将来に向かってその効力を消滅させることを行政行為の撤回といいます。

 取消し撤回主な相違点は次の通りです。

@対象となる行為…取消しは瑕疵のある行政行為、撤回は瑕疵のない行政行為
A行使原因…取消しは原始的瑕疵、撤回は後発的事情
B行使者…取消しは行政庁(処分庁、監督行政庁、審査庁)と裁判所、撤回は行政庁のみ
C形態…取消しは私人による不服申立てによる争訟および職権による取消し、撤回は処分庁の職権のみ
D効果…取消しは原則として遡及効、撤回は原則として将来効
E損失補償…取消しは不要、撤回は必要

 行政書士試験では、過去20年に6回の出題があり、多いほうです。



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ニックネーム nakaji at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 行政法

2007年06月13日

行政行為と裁量

 行政法の紹介4回目です。今日は、「行政行為と裁量」です。
 
法令は本来抽象的・多義的概念であるため、内容の不明確な部分について、行政行為の要件や内容を決めるとき、行政庁の側に判断・選択の余地を認めています。この判断・選択の余地を「行政裁量」といい、行政庁の裁量にゆだれられた行為を「裁量行為」といいます。
 裁量行為に対し、法律の規定が一義的で明確で、行政庁がこれを単純に執行するに過ぎない場合は、「き束行為」といいます。

 さらに裁量行為は、法規裁量行為便宜裁量行為に分かれます。

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ニックネーム nakaji at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 行政法

2007年06月04日

行政行為と瑕疵

 行政法の紹介3回目です。今日は、「行政行為の瑕疵」です。

 行政行為の瑕疵とは、問題のある行政行為のことをいいます。「瑕疵」とは、きずがあるという意味で、法律上何らかの欠点があることをいいます。法律用語として民法などでよく登場します。

 行政行為上の瑕疵は次のように分類されます。

 行政行為の瑕疵=問題のある行政行為で、これは
 @不当な行政行為
 A違法な行政行為
に分かれます。

 次に違法な行政行為は、
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ニックネーム nakaji at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 行政法

2007年05月28日

行政行為の種類

 行政法の紹介2回目です。今日は、「行政行為の種類」です。
 行政行為の分類方法として一般的なのが内容による分類です。

 まず行政行為は

 1.法律行為的行政行為:行政庁の意思表示に基づいて行われ、それに伴って法的効果が発生する行為

 2.準法律行為的行政行為:判断・認識など意思表示以外の判断作用の表示を要素とし、行政庁の意思とは関係なく法の規定によって一定の効果が発生する行為

に分かれます。

 法律行為的行政行為は、さらに

 1−1命令的行為:行政庁が国民に対し一定の行為をする義務を命じたり、その義務を解除する行為

 1−2形成的行為:国民に権利や包括的な法律関係を設定したり、その権利を剥奪したりする行為

に分かれます。

 それぞれは、次のように実際の処分行為に細分されています。

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ニックネーム nakaji at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 行政法

2007年05月21日

行政行為の効力

 現在、法律系の専門学校で行政法の講義を担当していますので、週1回程度、その講義の中から行政法を紹介したいと思います。

 今日は、行政法の紹介1回目「行政行為の効力」です。

 行政庁が行う処分(行政処分)は、行政法学上行政行為と呼ばれるが、法律の条文では行政行為という用語は登場せず、一般には、「許可」とか「認可」という表現や、総称して「処分」という表現が使われる。

 行政行為がなされると次のような効力が生じる。

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ニックネーム nakaji at 23:16| Comment(0) | TrackBack(2) | 行政法